ヨゾラ物語って?
遠い未来の学者X氏による解説
天の川銀河に地球が誕生してから46億年ほどたった頃、「人間」という生きものが地表のあちこちに散らばった。人間たちは各大陸に大きな都市をつくって繁栄し、生命個体の総数は70億を超えた。暮らしは便利になり、体をつかう仕事や頭を悩ませる難しい仕事は機械がやるようになった。生きることは楽になるはずだったが、どういうわけか人間はいつまでも不幸だった。幸せになるにはまだ足りないものがあると、新しい機能をもったロボットをどんどんつくった。のちに「ヨゾラ紀」と呼ばれるこの時代は情報ツールが発展し、さまざまな物語が記録された。以下の物語は銀河系政府公認の歴史資料「ヨゾラ物語ファイル」YOZORA101に「ほんとうにあった話」として掲載されたエピソードである。
この本におさめた物語はいわば未来の記録だが、先に読むことで「ヨゾラ紀」前夜の人間たちの参考になるかもしれないと思い、この物語を贈る。きみたち人間の幸運を祈る。